thanatos
<thanatos>
Do you want to die?――死にたいかい?
Do you love death?――君たちは死を愛しているかな?
No one lives forever.――誰も永遠に生きやしないんだ。
We die absolutely.――僕たちは、絶対に死ぬ。
The death approaches.――死が、近づいてくる。
Slowly little by little every day.――毎日、少しずつ、ゆっくりと。
There might be a relieved person.――安心する人もいるだろう。
There might be a person who fears it.――怖がる人もいるだろう。
I will be pleased. ――きっと僕は、喜ぶだろう。
Then,――そして、
How do you feel? ――君はどう感じるのかな?
Do you want to die?――死にたいかい?
Do you love death?――君たちは死を愛しているかな?
No one lives forever.――誰も永遠に生きやしないんだ。
We die absolutely.――僕たちは、絶対に死ぬ。
The death approaches.――死が、近づいてくる。
Slowly little by little every day.――毎日、少しずつ、ゆっくりと。
There might be a relieved person.――安心する人もいるだろう。
There might be a person who fears it.――怖がる人もいるだろう。
I will be pleased. ――きっと僕は、喜ぶだろう。
Then,――そして、
How do you feel? ――君はどう感じるのかな?
the Life is the Game
<the Life is the Game>
The life is the game.――人生はゲームだ。
The game is a punishment.――罰と言う名のゲーム。
Living is painful.――生きる事は辛い。
Living is sad. ――生きる事は哀しい。
The death is the end.――死は終焉だ。
The death is repose. ――死は安息だ。
Do not you not want to die all why?――どうして皆死にたがらないのか。
I feel it mysteriously. ――不思議でたまらない。
Is the suicide a crime?――自殺は罪なのか。
Do you feel that living through is our mission?――生き抜くことが私たちの使命だとでも思っているのか。
It is ridiculous. ――馬鹿馬鹿しい。
To become happy, we were born. ――私たちは幸せになる為に生まれてきた。
Dying is very better if it is not possible to become happy by living. ――生きる事で幸せになれないのなら、死んだ方が良い。
I think so. ――私は、そう思う。
The just argument is cheesed. ――正論なんざ、うんざりだ。
The life is the game.――人生はゲームだ。
The game is a punishment.――罰と言う名のゲーム。
Living is painful.――生きる事は辛い。
Living is sad. ――生きる事は哀しい。
The death is the end.――死は終焉だ。
The death is repose. ――死は安息だ。
Do not you not want to die all why?――どうして皆死にたがらないのか。
I feel it mysteriously. ――不思議でたまらない。
Is the suicide a crime?――自殺は罪なのか。
Do you feel that living through is our mission?――生き抜くことが私たちの使命だとでも思っているのか。
It is ridiculous. ――馬鹿馬鹿しい。
To become happy, we were born. ――私たちは幸せになる為に生まれてきた。
Dying is very better if it is not possible to become happy by living. ――生きる事で幸せになれないのなら、死んだ方が良い。
I think so. ――私は、そう思う。
The just argument is cheesed. ――正論なんざ、うんざりだ。
【詩】悪為す決意
<悪為す決意>
憎み憎まれ刃傷沙汰。
呪い呪われ妖術事件。
この世の根本原理は悪に他ならぬ。
真の善人の役目は、その悪を断ち切ることよ。
ただ悪を眺めている者は小悪党と称されても文句は言えぬ。
私は善人ではない。
まして、小悪党でいるような事は誇りが許さぬ。
しかし、悪を断ち切るに巨悪で立ち向かう他無い弱者である。
巨悪で構わぬ。
悪人で構わぬ。
この欺瞞で満ちた世界を変えられるならば、悪党と称されても、何ら構わぬ。
善人が弾圧される世界なぞ、破滅させるが当然よ。
悪鬼になってやろうぞ。
世界の敵になってやろうぞ。
破壊するが我の存在理由に他ならぬ……。
憎み憎まれ刃傷沙汰。
呪い呪われ妖術事件。
この世の根本原理は悪に他ならぬ。
真の善人の役目は、その悪を断ち切ることよ。
ただ悪を眺めている者は小悪党と称されても文句は言えぬ。
私は善人ではない。
まして、小悪党でいるような事は誇りが許さぬ。
しかし、悪を断ち切るに巨悪で立ち向かう他無い弱者である。
巨悪で構わぬ。
悪人で構わぬ。
この欺瞞で満ちた世界を変えられるならば、悪党と称されても、何ら構わぬ。
善人が弾圧される世界なぞ、破滅させるが当然よ。
悪鬼になってやろうぞ。
世界の敵になってやろうぞ。
破壊するが我の存在理由に他ならぬ……。
【小説】すれ違い
すれ違い
私はいつもおどおどしていた。
いつも誰かに頼りっぱなしで、自分の意見を前面に押し出す事が出来なかった。
恐らくこれは気弱の父に似たのだと思う。母はいつも自分の判断に自信を持っている。
母の様に、自信を持ちたいと思った。強くなりたい、と。
だが、私の気弱さは治せず、高校一年生の今にまで至ってしまった。
だからなのか……。私は、イジメの対象になった。いつも。小学生の頃も。中学生になっても。そして、今になっても。
イジメというのはいつになってもなくならないと思う。人が人である限り。学校が人の集まりである以上。
人間は犠牲者を欲する。その対象は目立つ者か、もしくは目立たない者だ。イジメの理由なんて、大抵はどうでもいいことだ。しかし、いじめられる者に理由が無いとは限らない。かと言って、イジメが正当化されるわけではないのだが。
私の名前は緋口穂乃華(ひぐち ほのか)。
背が低く、いつもびくついている情けない女子高生。
その日も、いつもの様にいじめられる学校生活が始まるのだった……。
†
私の朝は、比較的平穏に始まる。共働きの両親よりも早く起きて、お弁当の準備をする。両親と私と、もう一人の分。もう一人というのは、同じアパートに住んでいる、小学生からの知り合いである。一つ年上だが、小学校、中学校、と同じ学校に通い、高校も同じ所へ行くことになった。私の両親が共働きなので、彼の母の世話になることも多かった。自然彼と一緒にいることが多かったわけで。……まあ、異性として見てしまう様になってしまった。
お互い愛称で呼び合う仲だけど、彼が私を好きかどうかは分からない。
何故なら彼――蒼井雄司(あおい ゆうじ)――は、私をいじめから助けてくれる事は無かったからだ。
両親を見送って、私は戸締り、ガスの元栓を確認する。よし、と一人で頷いて、鍵と鞄、お弁当を持って玄関へ。 今は六月の上旬。微妙な温度、そして微妙な天気。
そろそろ合服(ベスト)も必要無いかもしれないな、と思った。でも一応着ていく。
今日は天気が崩れる可能性があるらしい。折りたたみ傘も鞄に入れておいた。
「いってきます」
いつもの癖で誰もいない家にそう言い残し、家をあとにする。私の家は201号室である。
とん、とんと安っぽい音のする鉄の階段を下りて、下に降りる。と、階段に寄りかかっている学生服の少年、蒼井ユウ君がいた。
「ユウ君、おはよう」
ユウ君は閉じていた目を開け、私の方にゆっくりと顔を向けた。人に怜悧な印象を与える瞳。闇を孕み、吸い込まれるような黒。そして髪も漆黒。少し伸びた前髪が、目を時折隠す。
「……おはよう、ホノ」
「ごめんね、待たせた?」
「……いや、丁度良かった」
「そっか……。じゃあ行こう」
ユウ君は私をいつも待ってくれている。悪いとは思うけど、嬉しいのも事実なので、なるべく待たせない様努力している。
隣を歩くユウ君を見る。ベストではなく、薄手の黒いコートを着て、長袖の白Yシャツを一番上のボタンまで止めて、だらしない雰囲気は皆無だ。服装だけを見ると真面目と思われがちだが、瞳の印象と、端整な顔立ちの所為で少し怖いというイメージが付く。クラスでもあまり話しかけられないらしい。
そして成績優秀、寡黙となれば余計に取っ付き辛くなる。浮いている、と言えばそうなのだが、本人は全く気にしていない様だ。
更に、いつも黒いコートを着ているのだ。学校ではかなりの有名人なのだが、関わり合おうとする生徒はほとんどいない。
私もある意味、クラスでは浮いている。成績は上の下、体育の時間の厄介者。真面目というより地味な印象。態度がおどおどしている。そんなだからいじめられるのだ。
「お前は……」
「え?」
「……よく学校を休まないな」
それは、いじめられているのに、という意味だろうか。多分そうだろう。
「父さんと母さんに、心配かけたくないから……」
私はそう答えた。そして、ユウ君に失望されたくないから――それは口に出さなかった。
「……そうか」
ユウ君は、それ以上口を開かなかった。私も喋らなかった。
†
ユウ君と高校の玄関で別れ、私は一年一組の教室に向かう。まだ時間は少し早く、教室にはまだ一人しか生徒がいなかった。白銀(しろがね)君だ。
「おはよう緋口」
彼は私にも普通に声をかけてくれる珍しいクラスメイトだった。物静かで、いつも本を読んでいる。
「白銀君おはよう」
彼は私に挨拶をした後、すぐ読書に戻った。世間話をするほど仲がいいわけではないのである。
私は、自分の席に着き、一日の始まりを覚悟するのだった。そういえば、ユウ君にお弁当を渡すのを忘れた。昼休みに届けようと思い、救いが一つできたな、と少し嬉しくなった。
†
「ひーぐーちぃ、私の宿題やってきたかあ?」
授業二時間目終了後、いじめの主犯格である女子にからまれた。名前は林明子(はやし あきこ)。髪をソバージュにし、金髪にしていて明らかに柄が悪い。次の授業は数学で、プリント一枚の宿題が出ていた。私はやってきたが、林の分までやっているわけがない。
林に肩を触られて、びくりと体が震えた。
「……写すなら、写して。私はやってきたから」
「ああ? 写せってか? てめえが私のに写せよ!」
林が私の頭をひっぱたく。そして林にいつも引っ付いている赤髪の関口彩(せきぐち あや)もプリントを写せとわめく。ノロマだの、地味だの、ダサイだの罵声を浴びながら、彼女らの分のプリントを写した。……自分でもみじめだと思った。クラスメイトは、見て見ぬ振りだった。いつもの事。そう、これが私の日常だった……。
書き写したプリントを二人に渡しても、私は解放されなかった。次の授業までにジュースを買って来いと、教室を締め出される。間違いなく授業は始まってしまうだろうな、と私は思った。唇を噛みしめ、手を強く握って、耐えた。数学の教師からは軽く説教される程度で済んだ。不幸中の幸いかもしれなかった。数学の授業が終わってからは、何もされなかった。彼女らの動向をいつも気に掛けるなんて、情けないと、思った。本当に、情けない……。
†
四時間目の授業が終わった。林や関口に絡まれない内に、ユウ君にお弁当を渡さなくては。教科書やノートはそのままに、お弁当を持って急いで教室を出ようとした。その直前、がし、と肩を強く掴まれた。林だった。
「ねえ、緋口。金持ってない? 昼ご飯食べたいんだけどさァ……。金、使っちゃったんだよね。いくらかくれないかなァ?」
「私の分もくれるよねえ?」
「……っ」
肩を強く掴まれる。こんな時に。ユウ君にお弁当を届けなきゃならないのに……! いっそのこと、お金を渡してしまおうか。いや、それだと余計につけあがられる。どうしよう。焦って、言い訳めいたことを口にしてしまう。
「わ、私急いで行く所が……」
「うるせえよ、てめえの都合は関係ねー。金、ちょうだいよ」
「別に一万寄越せとかは言ってないんだよぉ?」
「……うう」
私は俯いて考える。どうしよう。どうしよう。どうしよう……。
「穂乃華」
「え?」
顔を上げると、教室の扉の傍に黒いコートを着たユウ君がいた。
「ああ? ……誰だよ」
「黒いコート……。あ、蒼井雄司だよ、ヤバイよ……」
林と関口は、私の肩から手を離した。
二人から離れて、私はユウ君にお弁当を渡す。
「弁当貰ってなかったからな」
「……あ、うん! 今渡しに行こうと思ってたところだったの、ごめんね」
後ろでは、私とユウ君が知り合いの事を初めて知ったらしい林と関口が、何かを小声で話している。
ユウ君は溜息をついた。
「一緒に食うか。屋上でも行こう」
「う、うん」
私は少し驚いた。一緒に昼食を食べるなんて、高校生になってからは初めてだ。
後ろを見たら、林と関口がなんとなく不気味そうに私を見ていた。
屋上には数組のカップルが食事を取っていた。基本カップルくらいしか来ないのだ、ここは。それを意識するとなんだか凄く恥ずかしかった。
「全く……。ここはカップルしかいねえんだな」
「……うん」
空いている場所に座り、二人並んで座る。ちょっと落ち着かなかった。
「……正直、後悔してる」
「……え?」
「お前、これからは陰湿ないじめになるかもしれないぞ」
「……」
「俺はこの学校じゃ、危ない人間として有名だ。その俺と関わりがあると知られれば、どうなるか分からん」
「……だから、今まで何もしてくれなかったの?」
「そうだ。そしていじめは自分の力でどうにかしなくては本当の解決とは言えん」
「そう……だよね」
「すまなかったな。こういう事はちゃんと言っておくべきだった」
ユウ君は苦い顔をして言う。
私は、首を振った。
「ううん。大丈夫。分かってた。ユウ君に頼っても、解決にはならないって。……ありがとう。いつも気にしてくれてたんだね」
「……何もしなかったがな」
「良いの。自分がしっかりしなくちゃ、駄目だもの。それに、今日は助けてくれたもん。嬉しいよ」
「…………」
ユウ君は、懊悩の表情を浮かべていた。
「ご飯、食べよう? 時間無くなっちゃう」
「そうだな……」
ユウ君と一緒に食べたお弁当は、いつもより美味しく感じた。
†
昼食を食べ終わり、教室に戻ると、皆私から目を逸らした。……これがユウ君の言っていた陰湿ないじめだろうか。
林も関口も、からんできたりはしなかった。
正直、これなら前よりはマシな気がする。
私は、一人じゃないから。
放課後、教師から配られたプリントがまわってこなかった。前の席の生徒の嫌がらせらしい。教師まで取りに行ったら、自分の机の上にプリントが置いてある。こういうのは迷惑だと思った。教室では……否、学校では心を殺す。私はそう誓った。
帰り支度をしていると、なんとなくクラス中から視線を感じる。……嫌な感じだった。
「おい」
すると、林が話しかけてきた。前みたく愉しげにではない。嫌々そうしている感じだ。
「……なに」
警戒しながら問う。
「お前、蒼井雄司と昔からの知り合いらしいな」
「そうだけど……」
「嫌な奴ターゲットにしちまったぜ……。もう私らはお前に関わらねえよ。じゃあな」
「……」
背を向けて、関口と帰っていく林。……ユウ君は、そんなに評判が悪いのだろうか……?
私は二年の教室に向かっていた。ユウ君と一緒に帰ろうと思ったのだ。幸い、黒コートを着ているので、すぐにユウ君は見つかった。
「……ホノ」
「ユウ君、一緒に帰ろう」
「……俺は構わん。が、お前は良いのか?」
「私は……」
好奇の視線が、私たちを捉えている。ユウ君が周りを睨むと、皆目を逸らした。
溜息を吐き、ユウ君は私を促して玄関まで向かう。
「いつもあんな感じになるぞ」
「……別に良い。ユウ君以外は見ないようにする」
「ホノ、あまり殻に閉じこもるのはよした方が良い」
「ユウ君だってそうじゃないの?」
「……そうだな、俺も人の事は言えないか」
「私は、ユウ君が隣にいてくれればそれで良い……」
「…………」
ユウ君は、苦しげな表情を浮かべた。
「ホノ、お前の想いは重過ぎる……」
「……ごめんなさい」
「俺は、そんなに立派で、強い人間じゃない」
†
私とユウ君は、無言で帰った。
私の想いが、重荷だと言ったユウ君。それはつまり、盲目的、という事を言いたいのだろう。
でも、今まで私を正視してくれた人は、ユウ君以外にはいないと思う。クラスメイトはいじめを見ても見て見ぬ振りだったし、挨拶程度に話す人はいても、つっこんだ話を出来る友達もいない。
無言で帰る道のりは、長かった。
なんとなく、落ち着かなかった。
それはユウ君に、私の想いが知られたからだろうか。……いや、もっと前に多分気付かれていただろう。そうではなく、自分の想いを自覚し、自己暗示に掛かってしまっている状態なのかもしれない。
少し前を歩くユウ君に触れたい。こっちを見て欲しい。そんな想いがないまぜになって、胸が痛かった。
冷たい風が吹き、ユウ君のコートがはためく。私の火照った身体を冷やす。
ちら、とユウ君がこちらを見た。胸がどきりと大きく鼓動する。
「な、何……?」
「……いや、なんでもない」
そう言って、私の髪をそっと撫でる。鼓動が激しく、なる。
ユウ君の表情は苦しげで、嬉しさと切なさで胸がいっぱいになる。
ユウ君に触れられて嬉しい。ユウ君を困らせてしまい、切ない。
私は、どうすればいいか分からなかった。
†
私の学校生活は彩りを変えた。自分のクラスにいる時は、誰からも親しげには話してこない。白銀君と挨拶を交わし、近くの席の女子と授業の宿題を確認したりする程度。林と関口、その他ガラの悪い連中は、私と極力関わらないようにしていた。ユウ君はそういった不良連中に有名らしい。『蒼井雄司とは関わるな』と、上級生のワルから言われている、ということを風の噂に聞いた。
昼休みにはユウ君と一緒に食事をするようになった。私は自分の気持ちに素直に従うことにしたのだ。ユウ君と一緒にいたい。それが私の素直な気持ちだった。
帰りも時間が合う時には一緒に帰るようになった。
ユウ君は、いつも困った顔をしていたけれど。あからさまな私の態度に、どうすればいいのか分からないようだった。
灰色の授業時間。色を取り戻す昼休みと放課後の時間。
私はなるべく積極的にユウ君と話すよう努力した。どうして不良連中に警戒されるのか聞いたりもした。ユウ君は多少渋りはしたが、私の根気に負けたのか、断片的には話を聞くことが出来た。
ユウ君は学校の不良連中と喧嘩をしたことがあるらしい。そして、ボコボコにして言う事を聞かせた、とか。あとは繁華街で不良に絡まれて返り討ちにしたとか。
結構暴力的な事を日常で経験しているらしい。
私は母さんの様に自分に自信を持ちたいということや、将来は得意の料理を活かした仕事が出来たら良い……などと、普段考えている事を話したりした。ユウ君は言葉をあまり返してはくれなかったが、相槌を打ったり、視線を合わせてくれたりしたので、聞いてくれていることは分かった。
……そんな日々が、二週間程続いた。
†
私とユウ君は、並んで帰途についている。
「多分分かってると思うけど……。私、ユウ君のこと好き」
「……ああ、中学生の時点で気づいてた。俺もホノのことは大切だ。でもな、さっきも言ったけど、俺はホノの思うような立派な人間じゃないんだよ……」
「ユウ君は凄いじゃない。成績は良いし、運動だって出来るし、自分自身を律してる」
「ホノ、俺を理想化するな。俺なんかより、ある意味お前の方が強いんだぞ」
「何言ってるの……」
「今までお前はいじめられてきたけど、屈しなかっただろ。それが本当の強さなんじゃないのか?」
「……そうなのかな」
「少なくとも、精神的な強さってのはそういうことだと思う」
お互いに、しばらく黙った。私達は、ある意味じゃ両想い。だけど今のままじゃあ恋人同士にはなれない。
「ねえ」
「なんだ」
「どうなったら、私を彼女にしてくれるの?」
「俺がもっと成長したらだ。そして、隠していることを話せるようになったら、だな」
「私……」
私は、立ち止まり、ユウ君の黒いコートを引っ張った。
ユウ君は私の方を向き、お互いに目を見て話す。
「私、もっとちゃんとするから。自立して、ユウ君を支えられるくらいに強くなるから。だから、」
「お前の想いはちゃんと伝わってる。大丈夫だ。お前を見捨てたりはしない。約束する」
「……ありがとう、ユウ君」
「お互い、強くなろう。それでちゃんと、付き合おう」
「うん」
私達は自然に抱き合って、誓いの口付けを交わした。
私はいつもおどおどしていた。
いつも誰かに頼りっぱなしで、自分の意見を前面に押し出す事が出来なかった。
恐らくこれは気弱の父に似たのだと思う。母はいつも自分の判断に自信を持っている。
母の様に、自信を持ちたいと思った。強くなりたい、と。
だが、私の気弱さは治せず、高校一年生の今にまで至ってしまった。
だからなのか……。私は、イジメの対象になった。いつも。小学生の頃も。中学生になっても。そして、今になっても。
イジメというのはいつになってもなくならないと思う。人が人である限り。学校が人の集まりである以上。
人間は犠牲者を欲する。その対象は目立つ者か、もしくは目立たない者だ。イジメの理由なんて、大抵はどうでもいいことだ。しかし、いじめられる者に理由が無いとは限らない。かと言って、イジメが正当化されるわけではないのだが。
私の名前は緋口穂乃華(ひぐち ほのか)。
背が低く、いつもびくついている情けない女子高生。
その日も、いつもの様にいじめられる学校生活が始まるのだった……。
†
私の朝は、比較的平穏に始まる。共働きの両親よりも早く起きて、お弁当の準備をする。両親と私と、もう一人の分。もう一人というのは、同じアパートに住んでいる、小学生からの知り合いである。一つ年上だが、小学校、中学校、と同じ学校に通い、高校も同じ所へ行くことになった。私の両親が共働きなので、彼の母の世話になることも多かった。自然彼と一緒にいることが多かったわけで。……まあ、異性として見てしまう様になってしまった。
お互い愛称で呼び合う仲だけど、彼が私を好きかどうかは分からない。
何故なら彼――蒼井雄司(あおい ゆうじ)――は、私をいじめから助けてくれる事は無かったからだ。
両親を見送って、私は戸締り、ガスの元栓を確認する。よし、と一人で頷いて、鍵と鞄、お弁当を持って玄関へ。 今は六月の上旬。微妙な温度、そして微妙な天気。
そろそろ合服(ベスト)も必要無いかもしれないな、と思った。でも一応着ていく。
今日は天気が崩れる可能性があるらしい。折りたたみ傘も鞄に入れておいた。
「いってきます」
いつもの癖で誰もいない家にそう言い残し、家をあとにする。私の家は201号室である。
とん、とんと安っぽい音のする鉄の階段を下りて、下に降りる。と、階段に寄りかかっている学生服の少年、蒼井ユウ君がいた。
「ユウ君、おはよう」
ユウ君は閉じていた目を開け、私の方にゆっくりと顔を向けた。人に怜悧な印象を与える瞳。闇を孕み、吸い込まれるような黒。そして髪も漆黒。少し伸びた前髪が、目を時折隠す。
「……おはよう、ホノ」
「ごめんね、待たせた?」
「……いや、丁度良かった」
「そっか……。じゃあ行こう」
ユウ君は私をいつも待ってくれている。悪いとは思うけど、嬉しいのも事実なので、なるべく待たせない様努力している。
隣を歩くユウ君を見る。ベストではなく、薄手の黒いコートを着て、長袖の白Yシャツを一番上のボタンまで止めて、だらしない雰囲気は皆無だ。服装だけを見ると真面目と思われがちだが、瞳の印象と、端整な顔立ちの所為で少し怖いというイメージが付く。クラスでもあまり話しかけられないらしい。
そして成績優秀、寡黙となれば余計に取っ付き辛くなる。浮いている、と言えばそうなのだが、本人は全く気にしていない様だ。
更に、いつも黒いコートを着ているのだ。学校ではかなりの有名人なのだが、関わり合おうとする生徒はほとんどいない。
私もある意味、クラスでは浮いている。成績は上の下、体育の時間の厄介者。真面目というより地味な印象。態度がおどおどしている。そんなだからいじめられるのだ。
「お前は……」
「え?」
「……よく学校を休まないな」
それは、いじめられているのに、という意味だろうか。多分そうだろう。
「父さんと母さんに、心配かけたくないから……」
私はそう答えた。そして、ユウ君に失望されたくないから――それは口に出さなかった。
「……そうか」
ユウ君は、それ以上口を開かなかった。私も喋らなかった。
†
ユウ君と高校の玄関で別れ、私は一年一組の教室に向かう。まだ時間は少し早く、教室にはまだ一人しか生徒がいなかった。白銀(しろがね)君だ。
「おはよう緋口」
彼は私にも普通に声をかけてくれる珍しいクラスメイトだった。物静かで、いつも本を読んでいる。
「白銀君おはよう」
彼は私に挨拶をした後、すぐ読書に戻った。世間話をするほど仲がいいわけではないのである。
私は、自分の席に着き、一日の始まりを覚悟するのだった。そういえば、ユウ君にお弁当を渡すのを忘れた。昼休みに届けようと思い、救いが一つできたな、と少し嬉しくなった。
†
「ひーぐーちぃ、私の宿題やってきたかあ?」
授業二時間目終了後、いじめの主犯格である女子にからまれた。名前は林明子(はやし あきこ)。髪をソバージュにし、金髪にしていて明らかに柄が悪い。次の授業は数学で、プリント一枚の宿題が出ていた。私はやってきたが、林の分までやっているわけがない。
林に肩を触られて、びくりと体が震えた。
「……写すなら、写して。私はやってきたから」
「ああ? 写せってか? てめえが私のに写せよ!」
林が私の頭をひっぱたく。そして林にいつも引っ付いている赤髪の関口彩(せきぐち あや)もプリントを写せとわめく。ノロマだの、地味だの、ダサイだの罵声を浴びながら、彼女らの分のプリントを写した。……自分でもみじめだと思った。クラスメイトは、見て見ぬ振りだった。いつもの事。そう、これが私の日常だった……。
書き写したプリントを二人に渡しても、私は解放されなかった。次の授業までにジュースを買って来いと、教室を締め出される。間違いなく授業は始まってしまうだろうな、と私は思った。唇を噛みしめ、手を強く握って、耐えた。数学の教師からは軽く説教される程度で済んだ。不幸中の幸いかもしれなかった。数学の授業が終わってからは、何もされなかった。彼女らの動向をいつも気に掛けるなんて、情けないと、思った。本当に、情けない……。
†
四時間目の授業が終わった。林や関口に絡まれない内に、ユウ君にお弁当を渡さなくては。教科書やノートはそのままに、お弁当を持って急いで教室を出ようとした。その直前、がし、と肩を強く掴まれた。林だった。
「ねえ、緋口。金持ってない? 昼ご飯食べたいんだけどさァ……。金、使っちゃったんだよね。いくらかくれないかなァ?」
「私の分もくれるよねえ?」
「……っ」
肩を強く掴まれる。こんな時に。ユウ君にお弁当を届けなきゃならないのに……! いっそのこと、お金を渡してしまおうか。いや、それだと余計につけあがられる。どうしよう。焦って、言い訳めいたことを口にしてしまう。
「わ、私急いで行く所が……」
「うるせえよ、てめえの都合は関係ねー。金、ちょうだいよ」
「別に一万寄越せとかは言ってないんだよぉ?」
「……うう」
私は俯いて考える。どうしよう。どうしよう。どうしよう……。
「穂乃華」
「え?」
顔を上げると、教室の扉の傍に黒いコートを着たユウ君がいた。
「ああ? ……誰だよ」
「黒いコート……。あ、蒼井雄司だよ、ヤバイよ……」
林と関口は、私の肩から手を離した。
二人から離れて、私はユウ君にお弁当を渡す。
「弁当貰ってなかったからな」
「……あ、うん! 今渡しに行こうと思ってたところだったの、ごめんね」
後ろでは、私とユウ君が知り合いの事を初めて知ったらしい林と関口が、何かを小声で話している。
ユウ君は溜息をついた。
「一緒に食うか。屋上でも行こう」
「う、うん」
私は少し驚いた。一緒に昼食を食べるなんて、高校生になってからは初めてだ。
後ろを見たら、林と関口がなんとなく不気味そうに私を見ていた。
屋上には数組のカップルが食事を取っていた。基本カップルくらいしか来ないのだ、ここは。それを意識するとなんだか凄く恥ずかしかった。
「全く……。ここはカップルしかいねえんだな」
「……うん」
空いている場所に座り、二人並んで座る。ちょっと落ち着かなかった。
「……正直、後悔してる」
「……え?」
「お前、これからは陰湿ないじめになるかもしれないぞ」
「……」
「俺はこの学校じゃ、危ない人間として有名だ。その俺と関わりがあると知られれば、どうなるか分からん」
「……だから、今まで何もしてくれなかったの?」
「そうだ。そしていじめは自分の力でどうにかしなくては本当の解決とは言えん」
「そう……だよね」
「すまなかったな。こういう事はちゃんと言っておくべきだった」
ユウ君は苦い顔をして言う。
私は、首を振った。
「ううん。大丈夫。分かってた。ユウ君に頼っても、解決にはならないって。……ありがとう。いつも気にしてくれてたんだね」
「……何もしなかったがな」
「良いの。自分がしっかりしなくちゃ、駄目だもの。それに、今日は助けてくれたもん。嬉しいよ」
「…………」
ユウ君は、懊悩の表情を浮かべていた。
「ご飯、食べよう? 時間無くなっちゃう」
「そうだな……」
ユウ君と一緒に食べたお弁当は、いつもより美味しく感じた。
†
昼食を食べ終わり、教室に戻ると、皆私から目を逸らした。……これがユウ君の言っていた陰湿ないじめだろうか。
林も関口も、からんできたりはしなかった。
正直、これなら前よりはマシな気がする。
私は、一人じゃないから。
放課後、教師から配られたプリントがまわってこなかった。前の席の生徒の嫌がらせらしい。教師まで取りに行ったら、自分の机の上にプリントが置いてある。こういうのは迷惑だと思った。教室では……否、学校では心を殺す。私はそう誓った。
帰り支度をしていると、なんとなくクラス中から視線を感じる。……嫌な感じだった。
「おい」
すると、林が話しかけてきた。前みたく愉しげにではない。嫌々そうしている感じだ。
「……なに」
警戒しながら問う。
「お前、蒼井雄司と昔からの知り合いらしいな」
「そうだけど……」
「嫌な奴ターゲットにしちまったぜ……。もう私らはお前に関わらねえよ。じゃあな」
「……」
背を向けて、関口と帰っていく林。……ユウ君は、そんなに評判が悪いのだろうか……?
私は二年の教室に向かっていた。ユウ君と一緒に帰ろうと思ったのだ。幸い、黒コートを着ているので、すぐにユウ君は見つかった。
「……ホノ」
「ユウ君、一緒に帰ろう」
「……俺は構わん。が、お前は良いのか?」
「私は……」
好奇の視線が、私たちを捉えている。ユウ君が周りを睨むと、皆目を逸らした。
溜息を吐き、ユウ君は私を促して玄関まで向かう。
「いつもあんな感じになるぞ」
「……別に良い。ユウ君以外は見ないようにする」
「ホノ、あまり殻に閉じこもるのはよした方が良い」
「ユウ君だってそうじゃないの?」
「……そうだな、俺も人の事は言えないか」
「私は、ユウ君が隣にいてくれればそれで良い……」
「…………」
ユウ君は、苦しげな表情を浮かべた。
「ホノ、お前の想いは重過ぎる……」
「……ごめんなさい」
「俺は、そんなに立派で、強い人間じゃない」
†
私とユウ君は、無言で帰った。
私の想いが、重荷だと言ったユウ君。それはつまり、盲目的、という事を言いたいのだろう。
でも、今まで私を正視してくれた人は、ユウ君以外にはいないと思う。クラスメイトはいじめを見ても見て見ぬ振りだったし、挨拶程度に話す人はいても、つっこんだ話を出来る友達もいない。
無言で帰る道のりは、長かった。
なんとなく、落ち着かなかった。
それはユウ君に、私の想いが知られたからだろうか。……いや、もっと前に多分気付かれていただろう。そうではなく、自分の想いを自覚し、自己暗示に掛かってしまっている状態なのかもしれない。
少し前を歩くユウ君に触れたい。こっちを見て欲しい。そんな想いがないまぜになって、胸が痛かった。
冷たい風が吹き、ユウ君のコートがはためく。私の火照った身体を冷やす。
ちら、とユウ君がこちらを見た。胸がどきりと大きく鼓動する。
「な、何……?」
「……いや、なんでもない」
そう言って、私の髪をそっと撫でる。鼓動が激しく、なる。
ユウ君の表情は苦しげで、嬉しさと切なさで胸がいっぱいになる。
ユウ君に触れられて嬉しい。ユウ君を困らせてしまい、切ない。
私は、どうすればいいか分からなかった。
†
私の学校生活は彩りを変えた。自分のクラスにいる時は、誰からも親しげには話してこない。白銀君と挨拶を交わし、近くの席の女子と授業の宿題を確認したりする程度。林と関口、その他ガラの悪い連中は、私と極力関わらないようにしていた。ユウ君はそういった不良連中に有名らしい。『蒼井雄司とは関わるな』と、上級生のワルから言われている、ということを風の噂に聞いた。
昼休みにはユウ君と一緒に食事をするようになった。私は自分の気持ちに素直に従うことにしたのだ。ユウ君と一緒にいたい。それが私の素直な気持ちだった。
帰りも時間が合う時には一緒に帰るようになった。
ユウ君は、いつも困った顔をしていたけれど。あからさまな私の態度に、どうすればいいのか分からないようだった。
灰色の授業時間。色を取り戻す昼休みと放課後の時間。
私はなるべく積極的にユウ君と話すよう努力した。どうして不良連中に警戒されるのか聞いたりもした。ユウ君は多少渋りはしたが、私の根気に負けたのか、断片的には話を聞くことが出来た。
ユウ君は学校の不良連中と喧嘩をしたことがあるらしい。そして、ボコボコにして言う事を聞かせた、とか。あとは繁華街で不良に絡まれて返り討ちにしたとか。
結構暴力的な事を日常で経験しているらしい。
私は母さんの様に自分に自信を持ちたいということや、将来は得意の料理を活かした仕事が出来たら良い……などと、普段考えている事を話したりした。ユウ君は言葉をあまり返してはくれなかったが、相槌を打ったり、視線を合わせてくれたりしたので、聞いてくれていることは分かった。
……そんな日々が、二週間程続いた。
†
私とユウ君は、並んで帰途についている。
「多分分かってると思うけど……。私、ユウ君のこと好き」
「……ああ、中学生の時点で気づいてた。俺もホノのことは大切だ。でもな、さっきも言ったけど、俺はホノの思うような立派な人間じゃないんだよ……」
「ユウ君は凄いじゃない。成績は良いし、運動だって出来るし、自分自身を律してる」
「ホノ、俺を理想化するな。俺なんかより、ある意味お前の方が強いんだぞ」
「何言ってるの……」
「今までお前はいじめられてきたけど、屈しなかっただろ。それが本当の強さなんじゃないのか?」
「……そうなのかな」
「少なくとも、精神的な強さってのはそういうことだと思う」
お互いに、しばらく黙った。私達は、ある意味じゃ両想い。だけど今のままじゃあ恋人同士にはなれない。
「ねえ」
「なんだ」
「どうなったら、私を彼女にしてくれるの?」
「俺がもっと成長したらだ。そして、隠していることを話せるようになったら、だな」
「私……」
私は、立ち止まり、ユウ君の黒いコートを引っ張った。
ユウ君は私の方を向き、お互いに目を見て話す。
「私、もっとちゃんとするから。自立して、ユウ君を支えられるくらいに強くなるから。だから、」
「お前の想いはちゃんと伝わってる。大丈夫だ。お前を見捨てたりはしない。約束する」
「……ありがとう、ユウ君」
「お互い、強くなろう。それでちゃんと、付き合おう」
「うん」
私達は自然に抱き合って、誓いの口付けを交わした。
【詩】臆病なキス
臆病なキス
橙色の帰り道
手を繋いで歩いたね
貴方の手の感触は
優しくて、逞しかった
家までの長い筈の道のりは
なんだかとても短い様に感じたね
別れ際の抱擁は
温かくて安心できた
でもどうして
まだキスをしてくれないの?
小さな頃から友達で
やっと気付いて恋人同士
私はもう良いんだよ
君になら、何をされても許せるの
求めてるのは言葉じゃなくて
一歩を踏み出す行動だった
傷付き合うのは怖いけど
勇気を出してほしかった
恥ずかしいとは思ったけれど
不意をついて唇を奪った
手で触れた君の頬が熱い
ぎこちなさすぎて、戸惑ってる
もっとしっかりしてよ
君は私の恋人なんだから……
橙色の帰り道
手を繋いで歩いたね
貴方の手の感触は
優しくて、逞しかった
家までの長い筈の道のりは
なんだかとても短い様に感じたね
別れ際の抱擁は
温かくて安心できた
でもどうして
まだキスをしてくれないの?
小さな頃から友達で
やっと気付いて恋人同士
私はもう良いんだよ
君になら、何をされても許せるの
求めてるのは言葉じゃなくて
一歩を踏み出す行動だった
傷付き合うのは怖いけど
勇気を出してほしかった
恥ずかしいとは思ったけれど
不意をついて唇を奪った
手で触れた君の頬が熱い
ぎこちなさすぎて、戸惑ってる
もっとしっかりしてよ
君は私の恋人なんだから……
【詩】昏い思い
<昏い思い>
絶望なんてしてない、元々希望なんて持ってないもの。
哀しい事なんてない、他人の事なんてどうだっていいもの。
寂しい事なんてない、私には最初から味方なんていなかったわ。
愛おしさも、親愛の情も、家族への愛も、どうでもいいことよ。
もうどうでもいいのよ。
好きに使いなさいよ、私はどうせ人形でしかないんだから。
汚れ仕事にでも使うといいわ、他人を殺すのも、傷付けるのも全然平気なんだもの。
心なんてきっと無かったんだわ、人間ですらなかったのよ。
私は化け物、貴方達の子供よ。直視できないでしょうね。
膿まれて忌まれて苛まれ、闇に病まれて堕ちて逝く。
私なんか、産まなきゃ良かったのよ……。
絶望なんてしてない、元々希望なんて持ってないもの。
哀しい事なんてない、他人の事なんてどうだっていいもの。
寂しい事なんてない、私には最初から味方なんていなかったわ。
愛おしさも、親愛の情も、家族への愛も、どうでもいいことよ。
もうどうでもいいのよ。
好きに使いなさいよ、私はどうせ人形でしかないんだから。
汚れ仕事にでも使うといいわ、他人を殺すのも、傷付けるのも全然平気なんだもの。
心なんてきっと無かったんだわ、人間ですらなかったのよ。
私は化け物、貴方達の子供よ。直視できないでしょうね。
膿まれて忌まれて苛まれ、闇に病まれて堕ちて逝く。
私なんか、産まなきゃ良かったのよ……。
【詩】貪欲
<貪欲>
埋まらない胸の穴。
空っぽな胸の穴。
虚無に満ちた心の中。
寂しいのか、苦しいのか、悲しいのか分からない。
死ねばこの虚しさも消えるの?
死ねば満ち足りた世界に旅立てるの?
理性はそれを否定する。
感情はそれを肯定する。
自我はただ混乱する。
物語に逃避して。
破壊衝動で誤魔化して。
快楽で思考を覆い尽くして。
ただ僕は、刺激を貪り続ける。
貪欲という大罪を、犯し続ける。
埋まらない胸の穴。
空っぽな胸の穴。
虚無に満ちた心の中。
寂しいのか、苦しいのか、悲しいのか分からない。
死ねばこの虚しさも消えるの?
死ねば満ち足りた世界に旅立てるの?
理性はそれを否定する。
感情はそれを肯定する。
自我はただ混乱する。
物語に逃避して。
破壊衝動で誤魔化して。
快楽で思考を覆い尽くして。
ただ僕は、刺激を貪り続ける。
貪欲という大罪を、犯し続ける。
【詩】咎人
<咎人>
死にたいと願うことが
そんなに罪悪なの
生きていたって
迷惑そうな顔しかしないくせに
消えたいと願うことが
そんなにおかしいの
存在するだけで
邪険に扱うくせに
私は咎人
いない方が良い筈なの
私は咎人
ゼロに還りたいの
私は咎人
生きているだけで悪なの
貴方だけは
私を受け入れてくれた
嬉しかったの
たとえそれがただの同情でも
貴方だけは
私の存在を許してくれた
恋しかったの
たとえそれが許されざる想いでも
私は咎人
居場所なんて無かった
私は咎人
ゼロに還りたかった
私は咎人
貴方の中だけで生きたかった
そう、貴方だけが
貴方だけが、許してくれたの
貴方の為なら
私は何だって出来たのに
私は咎人
いない方が良い筈なの
私は咎人
ゼロに還りたいの
私は咎人
生きているだけで悪なの
もう私は
誰にも必要とされないの
死にたいと願うことが
そんなに罪悪なの
生きていたって
迷惑そうな顔しかしないくせに
消えたいと願うことが
そんなにおかしいの
存在するだけで
邪険に扱うくせに
私は咎人
いない方が良い筈なの
私は咎人
ゼロに還りたいの
私は咎人
生きているだけで悪なの
貴方だけは
私を受け入れてくれた
嬉しかったの
たとえそれがただの同情でも
貴方だけは
私の存在を許してくれた
恋しかったの
たとえそれが許されざる想いでも
私は咎人
居場所なんて無かった
私は咎人
ゼロに還りたかった
私は咎人
貴方の中だけで生きたかった
そう、貴方だけが
貴方だけが、許してくれたの
貴方の為なら
私は何だって出来たのに
私は咎人
いない方が良い筈なの
私は咎人
ゼロに還りたいの
私は咎人
生きているだけで悪なの
もう私は
誰にも必要とされないの
【詩】hatred
<hatred>
所詮は化け物、嫌われて当然さ。
化け物の子供はやっぱり化け物さ。
善人ぶったって、本性は真っ黒。
誰も受け入れてはくれないさ。
親だって手に余る存在なんだからさ。
分かっていたさ。こうなることを。
分かっていたさ。疎まれるんだ。
分かっていたさ。居場所なんか無いんだ。
分かっていたさ。自分の事だからな。
自分が一番自分の事を知っているさ。
所詮は化け物、嫌われて当然さ。
化け物の子供はやっぱり化け物さ。
善人ぶったって、本性は真っ黒。
誰も受け入れてはくれないさ。
親だって手に余る存在なんだからさ。
分かっていたさ。こうなることを。
分かっていたさ。疎まれるんだ。
分かっていたさ。居場所なんか無いんだ。
分かっていたさ。自分の事だからな。
自分が一番自分の事を知っているさ。
【詩】ヘレティック・ソング
<ヘレティック・ソング>
お前らの話は聞かないぜ。
お前らは俺を否定するだけだった。
今更親面したって無駄なんだ。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの理想を押し付けたって無駄さ。
俺は俺のスタイルでやっていく。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの正論なんて所詮は一般常識さ。
俺達異端者には当て嵌まらない。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの話は聞かないぜ。
もう聞き飽きたんだ。お呼びじゃねえんだよ。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らは俺を否定するだけだった。
今更親面したって無駄なんだ。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの理想を押し付けたって無駄さ。
俺は俺のスタイルでやっていく。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの正論なんて所詮は一般常識さ。
俺達異端者には当て嵌まらない。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの話は聞かないぜ。
お前らの話は聞かないぜ。
もう聞き飽きたんだ。お呼びじゃねえんだよ。




